ビジネス2016年8月9日

時短勤務で起こりがちなトラブルの回避法と対処

JQ015

時短勤務制度は、大企業の福利厚生ではなく、法律上で決められた制度です。事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員から申し出があった場合は、短時間勤務制度を設けなければいけません。

そのため、企業の経営者は、あらかじめ制度の内容を理解し、トラブルになりそうな点については、対応や対処の方法を決めておく必要があります。

制度の概要について知ろう

短時間勤務は、育児休業法で規定された労働者の権利で、“3歳に満たない子を養育する従業員”であれば、男女両方に対して認められています。

労働者側が会社に勤務時間の短縮を申し出た際は、企業側は、就業時間を原則1日6時間とする「時短制度」を設けなければいけない義務があります。
ただし、下記の「三つの条件」に該当する従業員は、短時間勤務に変更できないこともあります。

  • 入社してから1年を経過していない労働者の場合
  • 1年以上雇用をしているが、勤務時間の短縮をしない事に合理的・正当な理由がある場合
  • 業務の性質や業務の実施体制において、時間短縮が困難な業務である場合

しかし、その場合でも会社は、「労働者が仕事をしつつ、育児をする事が容易になるような措置」を講じる義務があるのです。
また、労働者が申し出た場合、会社は労働者に時間外労働をさせる事ができなくなりますので、注意しましょう。

人事上の制度を整えましょう。

労働者から時短の申し出があっても、「前例がこれまでにないので…」と企業側が断るトラブルが、時折、見受けられます。
また、就業人数の少ない企業では、欠員の穴をすぐに埋めることができない場合も多く、時短勤務では会社の業務がスムーズに運べないといったことも起こります。

ですので、そういった際に、「時短勤務はいつか就業規則に定めるので、もう少しフルタイムで頑張ってくれないか?」と、企業側と雇用側がうまく折り合えないというトラブルも起こりがちです。

しかし、短時間勤務は労働者の権利であるため、会社側が断る事ができません。労働者が労働局に相談すれば、大抵の場合は、労働者の訴えが認められます。
そのため、育児休暇から復帰予定の社員がいる場合は、早めに制度を整えておくなどの対処が必要です。

なお、短時間勤務をする期間は、勤務時間が減る分、給与も減額されますので、それに関する人事上の規定を定める必要があります。

社員の賃金が減ると、社会保険料等を計算するベースとなる「標準報酬」も減りますが、労働者はみなし措置を利用して減額前の社会保険料を支払い、将来支給される年金額が減らないようにする事も選択できます。

また、子供の年齢が3歳を超えても、小学校就学前の場合は、労働者が申し出た場合、1年に5日まで子供の看護のための有給休暇を認める対処が必要です。
さらに、労働者から申し出があった場合、1カ月24時間、1年で150日を超える時間外労働、深夜労働(夜10時から朝5時まで)をさせてはいけない事となっています。

このような時短勤務の制度を整えることが、労働者側と企業側のトラブルを減らすことになります。

時短勤務を「優秀な人材を失わないための措置」と考える。

短時間勤務に関する会社の義務をご紹介しましたが、いざ時短勤務の制度を設けても、なかなか好感を持たれないということも起こります。

というのは、社内に時短制度を利用している人がいると、他のメンバーの負担が増えるため、どうしても会社は短時間勤務を“ネガティブな義務”と考えられがちなためです。

しかし、時短勤務ができずにベテランの社員が退職してしまうと、新しい社員を雇い、時間とコストをかけて教育をし、人材を育てなければいけません。
そのため、長期的に見れば、時短勤務は優秀な人材を社内にとどめ、長期的に会社の利益となる制度といえます。

ですので、短時間勤務の数年間の間は、労働者が働き続けやすい環境を作る事が望ましいのです。

具体的には、短時間勤務により当該労働者の給与が減りますので、その減ったコスト分でパートタイマー労働者を雇い業務の穴埋めをしたり、短時間労働者を、短時間でパフォーマンスが出せる職種へ変更をするなども大事です。

また、自宅勤務の制度を取り入れるなどの措置も有効的です。今やインターネットとパソコンがあれば遠隔でも仕事が可能な状況であることが多いので、時短勤務と自宅勤務をうまく組み合わせる企業も増えてきています。

時短制度を利用した事により、労働者が職場で孤立しないよう、他のメンバーへ教育を行い、理解を求める措置・対処も必要において行うべきでしょう。

もちろん、時短勤務を受け入れる側の、他のメンバーへの気配りも忘れてはいけません。フルタイムのメンバーが業務量を圧迫されないようにしたり、業務引継ぎの効率化などのフォローアップも必要です。

まとめ

いかがでしょうか。
時短勤務を「義務」「重荷」と考える経営者も多いかもしれません。
しかし、考え方を変えると、優秀な人材を社内にとどめるための措置とも考える事もできます。

少子化時代のため、今後、政府の規定が強化される事も予想されるため、ぜひ早めに内容を理解しいていただき、人事制度の準備をしておく事をおすすめします。

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