マネジメント2016年7月5日

複線型人事制度のメリットとデメリット

DL038

複線型人事制度について耳にされたことはあるでしょうか。複線型人事制度は、多くの企業で取り入れられている人事制度で複数のキャリアコースを社内に設定することが特徴です。この複線型人事制度の概要とメリット、デメリットを紹介します。

複線型人事制度の概要

高度成長期の日本企業は、誰もが係長、課長、部長、取締役そして社長へという出世の一本道を目指す単線型の人事制度を取る企業が一般的でした。しかし、高度成長期を過ぎ人々の生活が安定してくると、出世だけを求めるのではなく、仕事のやり甲斐や職場以外でのプライベートの充実を求める等、従業員のライフスタイルが多様化してきました。また、企業の側としても成長期から安定期に移行すると管理職の数を増やす必要が無くなり、さらに、インターネット等のIT機器が発達が中間管理職の必要性を奪っていきます。
こういった従業員のニーズと企業側とのニーズが合致して産まれた人事制度が複線型人事制度です。複線型人事制度では、全社共通で経営者がゴールとなる画一的な人事制度とは異なり、同一企業内に複数のキャリアコースが並立します。設定されるキャリアコースは企業によって名称や定義が異なりますが、管理職を目指すキャリアコース以外に、現場での専門スキルを磨く専門職コース、定型業務を中心とした一般職コース、転勤のない地域限定社員等のキャリアコース等があります。
複線型人事制度は、その成り立ちから、管理職になれない人の受け皿としての役割が強いものでした。しかし、近年では、ビジネスの高度化とともに専門能力の必要性が高まり、また、多様なライフスタイルを求める若手社員が増えてきていることから、本来の多元的な選択肢としての意味が強くなってきています。

複線型人事制度のメリット

複線型人事制度を導入する最大のメリットは、勝ち組となる社員を増やせることにあります。従来の単線型人事制度では、勝者はほんの一握りでしたが、複線型人事制度ではキャリアコースの数だけ勝者が産まれます。自分が勝ち組になれるかもしれないということは、従業員にとって動機づけになります。
一方、ライフスタイルが多様化する世の中では「専門職としていつまでも現場で仕事をしたい」「仕事よりも家族との時間を大切にしたい」「子どものために転勤せず家族と一緒に暮らしたい」と必ずしも会社内での勝ち組を目指さない従業員も増えてきています。こういった従業員にも、多様な選択肢を提示することで働き続けやすい環境を提供できます。
また、専門職コースを設定し専門職を育成することで、熟練工を育てたり、自社の技術やスキルを陳腐化させることなく常に磨き続けたりといった効果も期待できます。

複線型人事制度の課題

複線型人事制度には課題もあります。制度が成り立った背景とも関係しますが、管理職へのキャリアコースが本流になりがちです。業務や処遇で、キャリアコースとその他のコースで不公平感無く、幅広い従業員のモチベーションを維持できるよう、制度設計はコースへの配置には注意が必要です。不公平感への対策として、キャリアコース間を自由に行き来できる仕組みを用意する会社もありますが、この時、行き来するための条件や各キャリアコースでのゴールを明確にしないと、管理職でも専門職でもない中途半端な中堅層が産まれてしまう可能性があります。
また、専門職コースを設定する場合、何を持って専門職とするかの定義や専門職の業績やスキル評価が難しいという課題もあります。専門職の門戸を広くすると管理職になれない人の逃げ道になってしまい、逆に門戸を狭くすると複線化の意味が無くなってしまいます。何を持って専門職とするかは、企業の置かれた環境によっても異なるため、制度を運営する中で専門職の基準設定を模索する必要があります。

まとめ

このように複線型人事制度にはメリットもありますがデメリットもあります。複線型人事制度を導入、運用するうえではメリットを活かしつつ、デメリットを最小化するように注意が必要です。

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