マネジメント2016年7月27日

PDCサイクルで実現する人事評価の運用

JP108

減点評価からの脱却をめざして、360度評価やコンピテンシーモデルなど、さまざまな人事評価の手法が編み出されてきました。しかし、人間が人間を評価することは難しい課題をはらんでいます。評価の本質を見直すと、生産性やモチベーションの向上、売上や収益を伸ばして、企業と個人が上昇的スパイラル(らせん状の成長)を目指すことにあります。オーソドックスなPDCサイクルによる人事評価の運用について解説します。

人事評価システムの制定(Plan)

PDCサイクルは、通常はPDCAサイクルと呼ばれます。Plan(設計)、Do(実施)、Check(評価)、Act(改善)を循環させて、品質向上や効率化をめざします。ここでは人事評価の改善を企画段階に含めることで、3つのプロセスに集約しました。
人事評価システムの制定(Plan)段階では、企業全体がめざす方向を確認し、運用すべき人事評価システムを定めます。このとき人事部門だけでなく、さまざまな部門を巻き込んで検討することが重要です。

たとえばIT関連もしくはクリエイティブ系の企業では、現場のキャリアやスキルを評価に組み込まなければなりません。人事担当者だけでは、分からない現場の評価があります。

営業部門の評価は売上高や新規獲得の顧客件数など数値で定量化できるので、評価しやすい部門です。しかし、定性的な場合は、評価する立場の人間のバイアス(偏見)によって変わります。客観的に数値化した評価に基づく人事評価システムの制定は、非常に困難です。

人事評価の運用と実施(Do)

続いて、評価システムを運用するDoの段階です。

心理学では「平均以上効果」とも言われますが、多くの人間は自分を平均以上の実力があると考えています。主観と客観のギャップは約20%あり、自己評価を高めに見積もっています。そこで低い評価を下されると、不満を感じたり、モチベーションを低下させたりする場合があります。

また、経営者や管理者が求める目標や資質と、社員個々が重視する目標や資質が異なるときも問題です。そこで、組織と個人の目標を合致させるために話し合って修正します。

年功序列の崩壊により、成果主義が脚光を浴びたこともありました。努力したプロセスは評価せずに、結果だけ着目する方法です。しかし、職場の雰囲気がとげとげしくなり、やる気を喪失する弊害も生まれました。
日本の風土では、協調性やチームワークが重視されます。そこで脱成果主義として、日本の風土に合わせた人事評価の運用も求められています。

人事評価の見直し(Check)

人事評価は、企業の成長や売上高や収益性の向上という成果に結びついていることが重要です。これがCheckの段階で、目標管理も必要とされます。

ところが、成果だけを重視して評価が形骸化すると、結果だけに着目して個人プレイに走ったり、逆にリスクを恐れて挑戦しなかったり、社内風土にも悪影響を与えます。新しい評価制度の運用によって、業績を悪化させることにもなりかねません。

したがって、売上などの数値に結びつかなかったとしても、チャレンジ精神などの評価も重要です。企業のミッションや価値観、哲学や理念に基づいて運用の見直しが必要になります。

まとめ

短期的には結果を出さなかったとしても、社内風土の改革は、じわじわと成果を発揮します。報酬や評価で丸めるのではなく、社員個々の自発的なモチベーションを生むことにより、企業は活性化します。
人事評価の運用は、長期的な視点で、制定・実施・見直しのサイクルを回転させて上昇スパイラル的な改善が重要です。

企業は外部環境や内部環境の変化によって、常に変わりつつあります。人事評価の運用も、成果や社内風土の改革によい影響を与えているかどうか見直して、よりよいシステムに変化させていくことが求められます。

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