シニア・中高年2016年8月23日

求人がない現状から見えるこれからの中高年労働市場

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有効求人倍率や失業率は大きく改善しているものの、日本の中高年労働者に対する雇用は、依然として厳しい環境にあるといえるでしょう。
「職が必要」と考えているものの、中高年労働者側も雇用側も二の足を踏んでしまう、中高年の転職。

どういったことが原因で、中高年労働者に求人のない環境を生み出してしまうのでしょう? また、中高年労働者の採用にはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

依然厳しい中高年の求人市場

2015年のNHK調査によると、「一年以内に再就職する割合」は、「20代前半/76.6%」、「40代前半/59.5%」、「50代前半/55.2%」、「50代後半/39.1%」と若年層に比べ中高年層は極端に再就職が難しくなります。

「年功序列」や「終身雇用」といった話も今は昔。
その反面、雇用の流動化が進んでいるかというと、新卒第一主義は変わっておらず、中高年労働者の再雇用が難しい点を見ても進んでいるとは思えない…、といった中途半端な現状ではあります。

また、純粋な「年功序列」は少なくなったものの、一定の就労期間ごとに給与が僅かながら上がっていく「年功賃金」といったシステムが、労使間などで決定している企業も存在しています。
スパッとクビを切られる代わりに、転職市場も一定の大きさである海外と比べ、「クビは切りにくいがムラ社会」という日本的な企業も未だ多いのも現実にあります。

こういった「一定の長期雇用」を前提とした中堅から大企業の中では、短期プロジェクトのための技術者や経営者ではない限り、積極的に中高年労働者を雇用していこうという環境にはなりにくく、中高年労働者に求人がないということが一般的になるのです。

また、転職の難しさに比べ、雇用形態にも問題があります。というのは、正社員としての雇用が減少し、非正規社員としての雇用が増加しているのです。
1980年代に全労働者の中の非正規雇用は10%台でしたが、2016年では40%近くが非正規雇用という結果が出ています。

不況の中でクビを切られた中高年や、長期間正規社員として働いていない中高年にとっては、つらい現実が待ち受けています。

中高年を採用するときのポイントとメリット

中高年労働者を雇用する上で、「現実と中高年労働者の意識ギャップ」が壁になることもあります。

今まで、年収800万円収入を得ていたが、転職先では「少々年収が下がっても、年収600万円くらいは…」といった認識の中高年転職希望者もいますが、現実はそう思い通りにはならない、厳しい状況です。

30代までならばある程度の好条件で転職・就職が可能です。
ただ、年齢が上がっていくにしたがって、“自身の思い通りの仕事環境は望めない”という認識が多少あるとしても、今までの経験からくる「プライド」などが、転職に対して楽観的な誤認識を招いてしまう場合があります。
その認識のギャップを本人が埋めているかどうかが、就職・転職活動では重要になります。

面接などを繰り返すことによって現状認識を把握する場合もありますが、「キャリアアドバイザー」や「転職コンサルタント」といった専門家のアドバイスから、自身の市場価値評価を受けるといった手段もあります。

キャリアアドバイザー・転職コンサルタントとは、ハローワークや高齢者就職支援センター、人材派遣会社などの機関に勤務していることが多く、求職者に対し就労支援などを行っている専門家です。
面接のポイントや適切な仕事の推薦、履歴書の書き方など様々なケアをしてくれますが、その人の適性を見た上での厳しい指摘もしてくれます。

そういった現状を認識した中高年労働者には、時には若年労働者よりメリットがある場合もあります。

「夜間勤務」や「土日出勤」など、求人条件としては敬遠されがちな条件でも応募してくれ、柔軟な対応が望める可能性もあります。

中高年が多く活躍している職種

中高年労働者にとって、求人がない職場ばかりではありません。
人手不足が主な要因ですが、中高年労働者が多く活躍している職場も存在しています。

「介護・福祉・医療」

今後、拡大されることが確実な職種の一つです。

厳しい労働環境が問題視されていますが、政府も抜本的な改善策を検討しており、労働環境改善のための法案も提出されています。
「社会福祉士」や「ケアマネージャー」など様々な資格があり、資格を取得することで管理職への登用も可能です。

「警備・マンション管理」

中高年労働者でも気軽に働くことができる職種です。

交通誘導から施設の管理、ボディーガードと様々な形態があります。
ゴミ出しや清掃といったマンションの管理を行う仕事も人気です。

まとめ

中高年労働者の非正規雇用やワーキングプア化など、求人がない現状が問題になっている昨今、政府では多くの中高年労働者本人や雇用主をサポートする政策を打ち出しています。
若者や中高年などの労働者を試験的に雇用する企業への助成金「トライアル雇用」などもあるので、地域のハローワークへ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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