外国人2016年7月26日

外国人労働者雇用のメリット・デメリットと助成金の活用

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企業を取り巻く環境は、少子高齢化による若い労働力の不足、国際的な競争激化によるコストダウンの必要性など厳しさを増しています。外国人を雇用し活用することでこれらの課題を解決できる可能性があります。

そこで、外国人を雇用することのメリット、デメリット、および雇用に際しての注意点、そして外国人の雇用に関する助成金について紹介します。

外国人を雇用するメリット・デメリット

1.メリット

1-1若い労働力の確保
少子高齢化の影響で、製造業をはじめ多くの業種で若い労働力が減少しています。日本語の会話力が不十分でも大きな問題のない製造業では、特に目や手先、運動能力が求められる製造現場でも若い労働力の確保という面で大きなメリットがあります。

1-2人件費の削減
同じ日本人の若い世代を雇用するよりも人経費を安く抑えられます。ただし、不当に安い賃金で雇用するのは法律違反です。

1-3労働意欲が高い
すべての外国人という訳ではありませんが、一般的に外国人は遠い外国からわざわざ働きに来日しているので高い労働意欲があります。給与だけでなく技術を吸収したいという意欲も外国人にはあります。

1-4海外進出・異文化の理解と優秀な外国人の採用
海外進出の計画がある場合、その国の労働者を雇用することで文化や慣習がわかり進出するときの参考にできます。また、外国人を通じて、その国の優秀な人材を確保しやすくなります。

1-5日本人にない多様性
日本人にはない発想や考え方、語学を外国人から学ぶことで、製品開発など企業経営に新しい発想を活用したり、語学を学ぶことで国際感覚を身に付けやすくなります。

2.デメリット

2-1雇用の手続きなどが面倒
外国人の雇用のための届け出を怠ると罰金を科せられます。それ以上に面倒なのは、外国人を受け入れて外国人の労働力を十分に発揮させられるように社内体制を構築しなければなりません。

2-2十分なコミュニケーションが取れない
社内体制とも関連しますが、日本語の会話能力ではカバーしきれない文化や慣習の違いで誤解が生じ、それが勤労意欲を弱めてしまう可能性があります。また、勤労意欲は高いのに、日本人よりもミスを認めない、遅刻や無断欠勤をする傾向があります。

2-3文化、慣習に違いによる摩擦
頭では異文化だからと理解していても、実際に経験すると日本人には許せないマナーが外国人には許せたり、その逆があったりしたときに相互不信、嫌悪につながり協調して働けなくなります。また、会社では日本文化を守っても、会社以外の地域社会では日本文化を守れず、寮や社宅を提供している会社にクレームが来る可能性があります。

外国人を雇用する場合の注意点

外国人は無条件に雇用できません。また、人件費だけに注目して雇用しても生産性が落ちるなどして時間当たりのコストは高くなることもあります。外国人を雇用する場合の注意点について紹介します。

1.外国人を雇用するときの法律上の注意すべき点

外国人の在留資格は現在27種類あり、これらの在留資格を就労の可否で分けると3つに分けられます。3つの区分ごとに在留資格と就労の可否について説明します。

1-1就労に制限のない在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つの在留資格の外国人は、どんな職業にも就労できます。

1-2在留資格の範囲内で就労できる在留資格
「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」「技能実習」「特定活動」の18の在留資格では、就労できる仕事が制限されています。

1-3原則として就労ができない在留資格
「文化活動」「短期滞在」「留学」「研修」「家族滞在」の5つの在留資格は、原則就労できません。
ただし、「留学」「家族滞在」の外国人は地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることで、アルバイトなどを1週28時間まで就労できます。
また、「留学」の外国人は、夏休みなどの期間中は、1日8時間まで就労できるなどの例外があります。ただし、風俗営業などに就労できません。

1-4違反した場合の罰則
違反した場合は、事業主は3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。

1-5外国人の在留資格の確認方法
外国人の在留資格や在留期間は、外国人登録証明書、旅券(パスポート)などで確認できます。

2.外国人の文化、慣習に相違による注意点

外国人は、日本人とは異なった文化、慣習を持っています。日本人と同じ感覚で仕事をさせても期待通りの仕事をしてくれない可能性があります。
マニュアルを細かく作り、作業内容を明確に指示する必要があります。
雇用条件も、口頭では誤解を生じトラブルになります。
そのほか、外国人は日本人よりも自己主張が強く、経歴やスキルについてオーバーに書いたり、話したりします。雇用にあたっては、事前に十分な確認や調査をしないと、期待したスキルがないことが雇用後にわかります。

外国人を雇用して受けられる助成金とは

外国人を雇用した場合、外国人だからという理由で受けられる助成金は現制度下では見当たりません。
ただし、財団法人国際研修協力機構(JITCO)が外国人の雇用に対して支援制度を用意しています。
雇用関連で多くの助成金を受けられる厚生労働省関連の助成金は、外国人という理由で受けられる助成金はありませんが、日本人労働者と同じ条件で多くの助成金が受けられます。

1.財団法人国際研修協力機構(JITCO)の支援制度

財団法人国際研修協力機構(JITCO)は外国人の技能実習生・研修生に対して以下のような支援を行っています。

  • 実習生・研修生の受け入れについての相談支援
  • 実習生・研修生の受け入れ企業の安全衛生、健康管理などに関する助言・情報提供
  • 実習生・研修生の帰国旅費立て替え払い制度、死亡弔慰金制度
  • 実習生・研修生の日本語教育の集合研修に対する金額面での支援

2.厚生労働省の助成金

厚生労働省の助成金は、外国人を含めて雇用した従業員に対して必要に応じて以下のような助成金を利用できます。

主な助成金:

  • 従業員の雇用維持助成金
  • 従業員の雇い入れ助成金
  • 従業員の処遇や職場環境の改善助成金
  • 従業員も職業能力の向上助成金
  • 労働時間・賃金・健康確保・勤労者福祉関係の助成金

まとめ

外国人を雇用するメリット、デメリットや雇用するときの注意点、および外国人を雇用で利用できる助成金について紹介しました。

企業を取り巻く環境は若年労働者の減少、コストダウン要請など厳しさを増しています。外国人を雇用することは、これらの課題解決や海外への進出時に寄与できることから、検討してみてはいかがでしょうか。

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