パート2016年6月29日

パートにも社会保険が必要?改正の基礎知識

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法人会社は、社会保険に加入する義務があります。正社員は社会保険に加入しなければなりませんでした。パートやアルバイトについては、所定の労働時間や労働日数に満たなければ加入しなくてもよいことになっていました。しかし、平成28年の10月以降、条件によっては、これまで加入対象外のパートも、社会保険に加入しなければならないケースが生じます。社会保険の改正について整理します。

社会保険とは

社会保険は、「雇用保険」「年金保険」「健康保険」「労災保険」「介護保険」の総称です。社会保険という名称はありません。
会社では加入が義務付けられています。最低限の生活を保障するためです。会社に勤めている人は、毎月の給与明細から天引きされているので、ご存知ではないでしょうか。実は、社員と会社で折半して負担しています。
現状、パートの社会保険の加入条件は「1週間で合計し、所定労働時間のおおよそ4分の3以上である場合」です。正社員が1週間に40時間とすれば、30時間以上働いている場合になります。労働日数としては「一般社員の概ね4分の3以上勤務している場合」で、週に3日以上働いていれば該当します。

社会保険は企業にとっても大きな負担になるので、経営者としては、パートの労働時間や日数に配慮しているのではないでしょうか。
また、夫が会社員で妻が夫の扶養によりパートで働いている場合には、年収103万円以内であれば所得税がかかりません。38万円の「基礎控除」+最低65万円の「給与所得控除」があるからです。さらに、年収130万円以内であれば夫の健康保険の被扶養者になり、自己負担なしに健康保険に加入し、国民年金にも保険料なしで加入できました。

したがって、年収103万円、130万円以上働かないようにパートを入れていた主婦も多かったはずです。

平成28年の10月からどう変わる?

この加入条件が、平成28年10月からは以下のように変わります。

  • 1週間の労働時間が20時間以上
  • 年収106万円以上
  • 月収88,000円以上 
  • 雇用期間1年以上
  • 従業員501人以上の企業で労働している場合

したがって、経営者としても、この条件を超えた場合は、パートの社会保険加入を認めなければなりません。
ただし、現在、夫の扶養でパートをしている場合には、社会保険料の負担が増えるために、手取りの金額が大幅に減少します。したがって、もし現状維持をめざすのであれば、1週間の労働時間が20時間以内であること、年収106万円の壁を超えないこと、月収が88,000円を超えないことなど、上記に該当しないように働き方を変える必要があります。

パートが社会保険に加入するメリット

しかし、加入するメリットもあります。
女性にとって大きなメリットは、「育児休業給付」がもらえることです。過去2年のうち1年間以上雇用保険に加入していれば、育児休業給付金がもらえます。
また、厚生年金保険を支払うので、将来的には年金受給額が増えます。その他、失業保険の給付を受けることができたり、健康診断を受けることができたり、メリットもあります。

雇用側としては、社会保険に加入するメリットとデメリットを理解した上で、パートと雇用契約を結ぶ際に事前に同意を得ておくことが必要でしょう。雇用した後で「こんなはずじゃなかった」という問題は避けるべきです。あるいは、顧問の社会保険労務士がいれば、経営上の方針なども考慮した上で、どのように進めていくか相談しておくとよいかもしれません。

まとめ

社会保険制度の変更は、企業経営にも大きな影響をもたらします。しかし、労働者のために、働く環境を整備することも大切です。制度の変更を理解するところから始めて、具体的な方針を立てるようにしてください。